研究紹介

ホルマリン固定パラフィン包埋切片の研究利用は制約が大きいとされてきましたが、センターでは新規技術の開発につとめています。形態研究は、表現型解析や、診断において非常に重要です。

良質な標本の作製、確認・診断を行い、標本作製受託研究者へ、形態解析について積極的に支援・助言しています。その一方で、組織を用いた新しい研究手法の開発、ソフトウェアの充実もすすめています。蛍光多重染色、モルフォメトリー定量なども応用し、本学全体の形態研究水準の向上に努めています。

① パラフィン切片での蛍光多重染色によるリンパ球の同定
大腸癌組織を用いてNKT細胞の浸潤を同定しました。

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大腸癌内のCD69とNKT細胞のT細胞受容体Va24の二重染色

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大腸癌内のIFNγとNKT細胞のT細胞受容体Va24の二重染色
(Tsuruyama et al., Clin Cancer Res 2005;11:7322-7327.)

② In situ hybridizationによるキメラ、倍数体化の検出
移植肝臓の倍数体化を性染色体で検出

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(Aini, Miyagawa, Tsuruyama et al 2012, Transplant. Int. Transpl Int. 2012 Sep;25(9):956-66.

③ 形態解析と多重染色の組み合わせで形態計量

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細胞の形態を細胞の周縁長を自動測定し、同じ面積をもつ円との面積比によって円形との違いを評価します。細胞の形態と円形度を二次元プロットし、形態を計量して特定の細胞集団を選び(ゲート)、その表面抗原をさらに免疫染色で同定します(オリンパスと共同研究)

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移植小腸内のNKT細胞の同定を行った。左は円形度を縦軸に横に細胞のサイズを横軸にとってある。ゲートによって特定の細胞を選択し、右はCD56とTCRの染色強度を計測している。(Transpl Int. 2012 May;25(5):537-44.)

④ 質量分析イメージング
パラフィン包埋した切片ではペプチドのイオン化は難しいとされてきましたが、島津製作所との共同研究でイオン化強度を100倍程度に引き上げることに成功し癌マーカーの一つを同定した。

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(朝日新聞2012年8月12日の記事、PLoS ONE垣本、玉木、鶴山ら)